ニキビ跡の治療は、ニキビよりも格段に難しくなります。タイプによって、治療法を説明していきます。

❶ ニキビを伴うニキビ跡

これはすべてのニキビ跡に共通することですが、まずニキビを治療しなければなりません。新しいニキビがまだ次々と出来ているのに、ニキビ跡の治療をしても、また新しいニキビが出来て、それがニキビ跡になるだけです。ニキビ跡の治療の前に、ニキビの治療を確実に行いましょう。ここで言うニキビの治療とは、今あるニキビを治すことだけではなく、新しいニキビを出来なくする治療のことを言います。

❷ 凹凸のニキビ跡

ニキビ跡の中で、もっとも難しい治療です。
積極的な治療としては、凹みの部分まで強酸でピーリングするTCAピーリング、凹みを縫い合わせる皮膚切除縫合、真皮まで削るサンドペーパー、ディープピーリング、レーザーアブレーション、凹みに注射して盛り上げるヒアルロン酸注入、コラーゲン注入、FGF治療、無数の針で皮膚にダメージを与えて回復を促すダーマローラー等ありますが、どれも完全に皮膚を平らに滑らかにするには至っていません。また、削る治療は3ヶ月から長いもので数年のダウンタイム（赤みを伴ったりする期間）があり、一概にはお勧めできません。

比較的ダウンタイムが少ないフラクショナルレーザー（フラクショナルレーザーとは、ドット状に照射するタイプのレーザーの総称です。モザイク、ピクセルレーザー、フラクセル、フラクセルⅡ、フラクセルⅢ、アファーム、アファームマルチコンプレックスなど、様々な機種があります）、プラズマポートレート等の新しい機器も続々と登場していますが、深い凹凸の皮膚を、完全に平らにすることは難しいでしょう。

ダウンタイムが少なく（といっても、皮膚の状態や設定によっては数週間赤みが続く場合もありますが）、効果が高いものとしては、
　■CO2レーザーを使用したフラクショナルレーザーであるeCO2（エコツー）や
　　ブリッジセラピー（アンコア）
　■エルビウムヤグレーザーを使用したフラクショナルレーザーであるサイトンレーザー
……があります。上記の3機種は、照射深度が深いため、今までのフラクショナルレーザーよりも深い凹みに一定の効果を認めます。

また、ケロイドのように凸に大きく盛り上がったニキビ跡に対しては、ステロイドの皮内注射によって、凸部分が改善することもあります。この注射は、当院では行なっておりませんが、保険診療範囲内で「ケロイド外来」や皮膚科で行なっていることがありますので、お近くの皮膚科にお問い合わせください。

しかし、いずれの治療でも深い凹凸を完全に元に戻すのは難しいのが現状です。当院では、残念ながらレーザー機器等を導入していないため、凹凸の治療は行っておりませんのでご了承ください。詳しくは、実際に機器を導入して治療にあたっている美容外科、美容皮膚科を受診してください。

※ニキビ跡に対して、レーザー治療やその他の治療をお勧めする場合もありますが、当院からは、他の病院の紹介は行っておらず、患者さま自身でお近くの病院をお探ししていただくことになりますのでご了承ください。

❸ 真っ赤な色素沈着のニキビ跡

ニキビ跡の炎症後の色素沈着に関しては、当院ではサリチル酸マクロゴールピーリングを主体として治療を行い、良好な成績を修めています。また、Lumixyl（ルミキシル）という新しいタイプの皮膚の美白剤やAPPSという進化型ビタミンＣを併用すると、より一層効果的です。顔全体が赤く、血管が浮き出ているような色調の場合は、Vビームなどの血管の赤みを消すレーザーが効果的です。また、グリコール酸や、レチノイン酸、ハイドロキノン等の組み合わせでも、ある程度効果が期待できます。個人差がありますが、適切な治療により、6ヶ月から1年間くらいで、かなりの改善が見込めます。ですが、完全に元の白い肌に戻すことは、難しいことは覚悟しておいてください。

❹ 茶色い色素沈着のニキビ跡

薄い赤茶色のニキビ跡の場合、ピーリング、レチノイン酸、ルミキシル、APPS、ハイドロキノン等が効果的です。当院の治療では、サリチル酸マクロゴールピーリングと、Lumixyl（ルミキシル）、APPSの併用で治療していくことが多いです。内服では、ビタミンCやL－システイン、トラキネム酸（ただし、ピルと併用は不可）と併用して行っていきます。

濃いシミのような茶色の場合は、ピーリングや美白剤で、多少は薄くなる可能性はありますが、劇的な改善は難しいでしょう。原則として、炭酸ガスレーザー等で皮膚を削るしかありません。個人差がありますが、6ヶ月から1年間くらいで、ある程度の改善が見込めます。